失業保険が100日差?!65歳前後の退職
今年定年を迎えるA子さんのお父さん。
再雇用で70歳まで働くつもりでした。
ところが・・・
A子:えーーーーつ!
今更単身赴任?!
父:老人に厳しいだろ~?
もう悠々自適のご意見番
になれると思ってたのに
目いっぱい働けって。
A子:なんかモヤモヤする
でも来月の誕生日
までの辛抱ね。
父:いやいや、
ゴールテープはまだ先なんだ。
うちの会社は
65歳になった年度末が
定年退職日なんだよ。
来年の3月31日までは頑張るよ。
A子:ちょっと待って!
65歳過ぎて辞めると
失業保険がものすごく
減るって聞いたよ。
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■この記事でわかること
☑1 65歳前に退職したほうが失業保険が多くなる
☑2 65歳以降に退職したらどのぐらい少ないのか
☑3 年齢の境目は誕生日の2日前
☑4 複眼的に気を付けるべき入金時期
☑5 まとめ:大切なのはケースごとの試算
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失業保険と一般に呼ばれているお金は
退職後に会社から送られてくる
「離職票」という書類を
ハローワークに持参し、
手続きすることで受け取れます。
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1 65歳前に退職したほうが失業保険が多くなる
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失業保険は
正しくは”基本手当”と呼ばれ
年齢や雇用保険に加入していた期間
退職の理由によって
受け取れる日数が異なります。
定年退職の場合は
自己都合退職の場合と同じ
給付日数です。
1年以上10年未満で90日
10年以上20年未満で120日
20年以上で150日
が給付日数となります。
1日分の金額は
”基本手当日額”といい
退職した日の直前6か月分の
お給料(ボーナス除く)を
180で割った額の
50%~80%です。
60~64歳は
45%~80%と
幅が広くなっています。
お給料の安い人ほど
80%に近い高い率で
日額が決まります。
さらに年齢ごとに
上限があり、
60~64歳の場合
7,083円(平成30年)です。
この金額は
毎年8月に変更します。
毎月のお給料が50万円の
Aさんのお父さんは
いくらになるでしょう。
50万円×6か月
=300万円
300万円÷180日
=16,666.666円
16,666.666円に
最も低い割合45%を
掛けると7,499.7円
となりますが
上限額の7,083円が
給付日額となります。
給付日数は150日なので
失業給付の総額は
7,083円×150日
=1,062,450円
となります。
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2 65歳以降に退職したらどのぐらい少ないのか
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65歳以上で退職すると
給付される金額は大きく減ります。
”高年齢求職者給付金”と呼び方が変わります。
雇用保険加入期間が
1年以上で50日分
1年未満で30日分
Aさんのお父さんの
”基本手当日額”は
7,083円でしたので
7,083円×50日
=354,150円
64歳のうちに退職した場合より
70万円も少ない給付しか
受けられません。
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3 年齢の境目は誕生日の2日前
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ご注意いただきたいのは
150日と50日の給付のボーダーは
誕生日の2日前ということです。
雇用保険独特の
数え方にご注意ください。
7月20日が誕生日であれば
7月18日以前に退職すれば150日
7月19日以降だと50日です。
退職日は労働者が
希望することができますが
会社の規定もよく確認の上
希望を出しましょう。
Aさんのお父さんの会社の場合は
65歳になった年の年度末が
定年退職日でした。
もし誕生日2日前に退職し
最大150日分の失業保険が
受け取れたとしても、
退職金が100万円減ってがっかり
なんてこともあるかもしれません。
会社が設定している
定年退職日目前に退職したため
退職金の乗率が
自己都合退職として
少なくなることがないか
就業規則や
退職金規定を
よく確認の上
試算してみましょう。
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4 複眼的に気を付けるべき入金・出金時期
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退職後に気を付けたいのは
これから入ってくるお金と
払わなければいけないお金の
予定がうまくかみ合うか
どうかです。
最後のお給料は
退職日によっては
社会保険料が2か月分引かれたり
住民税が5か月分まとめて引かれたり
思ったより手取りが少なく
ローンやカードの支払いに
困ることもあります。
給与計算担当部署に
あらかじめ確認するとよいでしょう。
退職金の支給時期も
会社の規定により
退職後3か月後、半年後
になる事もあります。
失業給付も退職してすぐに
受け取れるものではありません。
自己都合退職の場合は
早くても4~5か月先になります。
<退職~失業保険受取までの流れ>
退職
↓(約1週間~)
離職票の受け取り
(普通は会社から郵送されます)
↓
ハローワークで手続き
↓(約2週間~)
ハローワークで説明会
↓(約1週間)
ハローワークで失業認定1回目
↓(3か月)
ハローワークで失業認定2回目
↓(約1週間)
振込
最初にハローワークに
出向くのが遅れると
お金をもらう日も遅くなります。
また自分の都合で退職すると
失業保険を受け取れるまで
3か月の給付制限期間ができます。
同じ自己都合でも
Aさんのお父さんのように
単身赴任を断って退職なら
”特定理由離職者”
という3か月の給付制限なく
失業保険を出してもらえる失業者
となります。
大事なのは
離職票という書類の右側半分の
離職理由の欄です。
ハローワークHPの記入例を加工
字が細かいですがどこに
レ点や丸印がついているのか確かめ
一番下の欄の記入をしましょう。
なお定年退職ならば
3か月の給付制限なく
失業保険がおります。
とはいえ、
お金が振り込まれるのは
少なくとも1か月先です。
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まとめ:大切なのはケースごとの試算
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Aさんのお父さんの会社は
定年退職は65歳になった年の
年度末でした。
定年まで頑張るのと
早めに自己都合退職するのと
どちらが良いでしょうか?
失業保険の金額だけを見れば
150日分もらえる64歳のうちに
退職するのがお得といえますが
Aさんのお父さんの
月収は50万円
失業保険から出る1か月分は
7,083円×28日分
=20万円弱。
失業給付をもらう手続きをすると
年金も止まりますので、
今までの半分以下の金額の
失業保険だけで生活する
ことになります。
失業給付が終われば
年金再開となりますが
最後の失業給付を受け取ってから
3か月後に振り込まれます。
Aさんのお父さんが
「金額重視」なら
失業保険150日を重視
することは
おススメできません。
あくまでも
月収50万円のAさんのお父さんが
相談者さまと仮定しての試算
です。
お勤めの会社や
相談者さまの状況で
ベストチョイスは全く異なります。
ぜひ、ご自身の環境で
試算なさってください。
お読みいただき
ありがとうございました。