現役続行で気になる年金カット額
働くママのA子さん
お母さんとこんな会話になりました。
A子:お父さんもうすぐ定年だね。
お祝いパーティどうしうよか?
家族旅行でも行かない?
母:あら、聞いてないの?
お父さん再雇用で70歳まで働くって言ってるわ。
残念だけど旅行はもう少し先よ。
A子:でも年金もらえる年なのに仕事行っちゃったら
年金もらえないんじゃない?
母:それがね、金額によるんだって。
お父さんのことだから
ちゃんとその辺は計算してるわよ。
A子:へぇ~
年金をもらいながら働けるんだ!
A子さんのお父さんのように
サラリーマン生活を続けながら
もらう年金を在職老齢年金といいます。
たくさんお給料をもらうと
年金が減らされる仕組みになっています。
平成6年のころは
就労時点で一律2割支給停止だったそうです。
当時に比べれば
働くシニアの増加に合わせ
制度も改善しているようですが、
がんばって仕事に行くというのに
かえって年金が減らされるのは嫌だ!
と考えてリタイアしてしまう人も多いので、
将来的には廃止も視野に入れつつ見直され※
るそうです。
とはいえ、
働くシニアの「壁」になる制度が
どんなものなのか確認しておきましょう。
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■この記事でわかること
☑1 全部の年金がカットされるわけではない
☑2 どのくらいカットになるのか65歳未満の場合
☑3 どのくらいカットになるのか65歳以上の場合
☑4 老後のマネープランを立てるときに抑えておくべき他の制度
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1 全部の年金がカットになるわけではない
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歳を取ってから受け取る年金には、
老齢基礎年金と
老齢厚生年金があります。
老齢基礎年金は
現役時代に国民年金保険料を納めていた分、
老齢厚生年金は
現役時代に給与天引きされていた
厚生年金保険料を納めていた分です。
厚生年金保険料を納めていれば
自動的に国民年金保険料も
払ったことになっています。
働くシニアが受け取る年金を
「在職老齢年金」と呼んでいますが
キーワードは「厚生年金」です。
そもそもずっと自営業の人や
働いてお給料をもらっているけど
社長さんは個人事業主
という人には関係ありません。
厚生年金のある会社で
老後も働いてお給料を沢山もらっても
老齢基礎年金は減りません。
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2 どのくらいカットになるのか65歳未満の場合
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もらうはずの年金額や
会社からの給料・ボーナスに応じます。
簡単!?3ステップで
カットされる年金が計算できます。
必要な情報は3つ
1「老齢厚生年金の月額」
2「その月のお給料総額」
3「直前1年のボーナス÷12の金額」
STEP1
上記1.2.3を足します
”加給年金”という年金が
ついていたらそこは除いて考えます。
1.2.3の合計が
65歳未満の人は 28万円以下なら年金は減りません。
65歳以上の人は 47万円以下なら年金は減りません。
例えば、
1「老齢厚生年金の月額」10万円
2「その月のお給料総額」20万円
3「直前1年のボーナス÷12の金額」10万円
だった場合
1.2.3の合計は40万円ですね。
A子さんのお父さんが
65歳未満の人なら
28万円を超えているので年金が減ります。
どれぐらい減るのかはSTEP2でご説明しますね。
A子さんのお父さんが
65歳以上の人なら
47万円以下となり年金は減りません。
注意点は
老齢厚生年金だけをカウントすることです。
老齢厚生年金は
「報酬比例部分」と呼ばれていたり
「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれることもあります。
どちらも、サラリーマン時代に
天引きされていた厚生年金保険料に応じて
老後に支給される”老齢厚生年金”です。
STEP2
⇒65歳未満の場合
どのぐらい減るのか計算式を選択
(65歳未満の人の年金+給与+ボーナス月額が28万円を超えていた場合)
必要な情報は3つでしたね
1「老齢厚生年金の月額」
2「その月のお給料総額」
3「直前1年のボーナス÷12の金額」
そのうち
2(給料)と
3(ボーナス)の合計が
47万円あるかどうかを見ます。
次に
1(年金)が
28万円あるかどうかを確認し、
STEP3で
4通りの計算式のどれかに当てはめます。
Aさんのお父さんの場合
STEP2
2「その月のお給料総額」20万
3「直前1年のボーナス÷12の金額」10万円
ですから合計は30万円です。
次に1「老齢厚生年金の月額」が
28万円あるかどうかを確認します。
Aさんのお父さんは10万円でしたので
支給停止額は
1.2.3の合計から
28万円を引いた金額の半分となります。
Aさんのお父さんの例ですと、
STEP3では
1.2.3の合計40万円から
28万円を引いた金額は
40万円ー28万円=12万円
これを半分にして、
支給停止額は
12万円÷2=6万円です。
在職老齢年金(厚生年金)は
4万円受け取れるということです。
仮にボーナスありません
給料20万円だけです・・・となれば
30万円ー28万円=2万円
支給停止額は2万円÷2=1万円です。
在職老齢年金(厚生年金)は
9万円受け取れることになります。
STEP3の4つの計算式はこちらの図※のようになります。
Aさんのお父さんで行った計算は
図の中の計算方法①でした。
在職老齢年金は、
用語が難しいことと
計算方法が沢山ある部分が難しいですね。
わかりやすくするため、
なじみのある言葉に置き換えてみます。
在職老齢年金
=減らされた後の老齢厚生年金
基本月額
=仕事をしない場合にもらえる予定の厚生年金額
総報酬月額相当額
=お給料1か月分とボーナスの月割額
とするとご自身でも
計算しやすくなるのではないでしょうか。
なお、ボーダーラインの金額は
毎年変化しています
これから費用対効果を検討される方は
最新情報をご確認くださいね。
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3 どのくらいカットになるのか65歳以上の場合
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65歳以上の場合は
より簡単な計算となります!
1「老齢厚生年金の月額」
2「その月のお給料総額」
3「直前1年のボーナス÷12の金額」
1,2,3の合計が
47万円以下ならば年金は満額です。
STEP2
⇒65歳以上の人が47万円ボーダーを超えていた場合
この図※のように計算します
Aさんのお父さんが65歳以上で
1「老齢厚生年金の月額」10万円
2「その月のお給料総額」30万円
3「直前1年のボーナス÷12の金額」10万円
だったとしましょう。
1.2.3の合計は50万円です。
支給停止額は
50万円ー47万円÷2=1.5万円
厚生年金の支給額、
つまり在職老齢年金は
10万円ー1.5万円=8.5万円となります。
別のパターンを見てみましょう。
Aさんのお父さんが65歳以上で
1「老齢厚生年金の月額」20万円
2「その月のお給料総額」20万円
3「直前1年のボーナス÷12の金額」10万円
だったとしましょう。
1.2.3の合計は
先ほどと同じ50万円です。
支給停止額は
50万円ー47万円÷2=1.5万円
と同じです。
しかし厚生年金の支給額、
つまり在職老齢年金は
20万円ー1.5万円=18.5万円となります。
沢山年金をもらう人の場合
痛手が少なくなりますね。
あと1つ別のパターンを見てみましょう。
Aさんのお父さんが65歳以上で
1「老齢厚生年金の月額」1万円
2「その月のお給料総額」39万円
3「直前1年のボーナス÷12の金額」10万円
だったとしましょう。
1.2.3の合計は
先ほどと同じ50万円です。
支給停止額は
50万円ー47万円÷2=1.5万円
と同じです。
しかし厚生年金の支給額、
つまり在職老齢年金は
1万円ー1.5万円=マイナス0.5万円となります。
マイナスとなる場合は
老齢厚生年金は
全額支給停止になります。
年金の少ない人にとっては
現役時代の年金保険料が払い損となりますが、
年金が支給停止なっても
月収47万円を超えているのですから、
生活サイズに気を付ければ
路頭に迷うことはなさそうですね。
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4 老後のマネープランを立てるときに抑えておくべき他の制度
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在職老齢年金以外にも
働くシニアが確認しておきたい制度が
2つあります。
その1:医療・介護保険
「65歳からの介護保険料」
と
「75歳からの医療保険料」
は
「年金から天引き」に変わります。
また、フルタイムから
パートタイマーに代わるなどして
勤め先での保険加入資格を失う場合は
「国民健康保険に加入」するか、
保険料全額負担で
勤め先の健康保険を
「任意継続」することになります。
いままで扶養していた
家族の保険も変更となり
家族の分の保険料の予定も必要です。
その2:雇用保険
60歳以降も雇用保険加入で働いていて
60歳到達時よりお給料が減ると、
65歳まで
「高年齢雇用継続基本給付金」
が受けられます。
ただし年金は一部停止となります。
退職をして
失業給付を受けている間、
65歳までは老齢厚生年金が
支給停止になります。
65歳以降に退職をするなら
「高年齢求職者一時金」
が利用できます。
受け取れる金額や
支給されるための条件があります。
要件を満たすような働き方、
雇用契約になるよう注意が必要です。
受け取れるお金、
止まってしまうお金という
範囲にとらわれず
気力・体力
収入・支出のバランスを意識し、
充実した老後を過ごしたいものですね。
お読みいただきありがとうございました。