育休中にバイト|育児休業給付金は?
育休中のAさんからのご相談
会社が忙しすぎて
「ちょっとでもいいから手伝って!」
と頼まれてしまいました。
子どもの昼寝中や
夫が休みの日に
在宅ワークでなら手伝えるのですが
育児休業給付金は普通にもらえるのでしょうか?
今日は
育休中にアルバイトをした場合
育児休業給付金はもらえるか
について考えてみたいと思います。
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1:育児休業給付金とは
2:日数と時間数+バイト料で判断される
3:具体的に計算してみます
4:まとめ・WIN-WINな育休取得に
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まずは基本的な情報を整理しましょう。
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1:育児休業給付金とは
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<育児休業給付金ってどんなお金?>
育児休業給付金とは
育児休業を取ると
育休前、半年間の月収(賞与除く)平均額の
7割弱~5割が
子どもが原則1歳の誕生日の前々日まで
国からもらえる非課税のお金です。
<具体的にいくら?>
休業開始後
6か月目までは支給率67%
7か月目以降は支給率50%です。
休み前半年間の月収の平均が
およそ8万・20万・30万の場合
毎月もらえる金額は支給率を掛けて
以下のようになります。
8万円くらいの場合
⇒最初の6か月は5万円程度
7か月目以降は4万円程度
20万円くらいの場合
⇒最初の6か月は13万円程度
7か月目以降は10万円程度
30万円くらいの場合
⇒最初の6か月は20万円程度
7か月目以降は15万円程度
<誰がもらえる?条件は?>
雇用保険に加入していれば
正社員でもパートでも
派遣でもアルバイトでも
もらうことができますが
条件があります。
条件とは
育休に入る直前の2年間に
11日以上勤務した日が
12か月分以上あることです。
有給休暇は
勤務として考えます。
パート契約で出勤日数が少ない人や
入社後1~2年の人
あるいは、長く働いているけれど
雇用保険加入の契約に変更してから
1~2年の人は
「11日以上の条件」に当てはまっているか
注意が必要です。
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2:日数と時間数+バイト料で判断される
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育児休業給付金がもらえるかどうかは
2つの関門があります。
一つ目の関門は
日数と時間数
育休中にアルバイトをしても
1か月あたり10日以内
かつ80時間以内なら支給
ですが
次に金額の関門があります。
二つ目の関門は
バイト料
休業開始後6か月間(67%支給率の間)
と休業開始後7か月目以降(50%支給率になってから)
とで計算方法が変わります。
<休業開始後6か月間の計算方法>
STEP1
バイト料が平均月収の
13%以下
なら満額支給
STEP2
バイト料が平均月収の
80%超
なら支給されません
STEP3
バイト料が平均月収の
13%超え~80%未満
なら平均月収×0.8との
差が減額支給
<休業開始後7か月目以降の計算方法>
育児休業給付金の支給率が50%に下がる
休業7か月目からは減額になる下限の
パーセンテージが13%が30%に変わります。
STEP1
バイト料が平均月収の
30%以下なら満額支給
STEP2
バイト料が平均月収の
80%超なら支給されません
※育休期間中とおして同じパーセンテージ
STEP3
バイト料が平均月収の
30%超え~80%未満
なら平均月収×0.8との差が減額支給
給付率が下がる7か月目以降なら
少々のお手伝いであれば
育児休業給付金に影響してこないので
安心して働ける仕組みになっています。
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3:具体的に計算してみます
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休業当初半年にアルバイトをしたとして
具体例で計算しましょう。
育休前月収が8万円くらい
育休当初半年間の場合
STEP1
8万円×13%=10,400円
10,400円より少ないバイト代なら
育児休業給付金は満額支給です。
STEP2
8万円×80%=64,000円
64,000円以上のバイト代なら
育児休業給付金は支給されません。
STEP3
8万円の13%超~80%未満
つまり10,400円~64,000円未満の範囲なら
64,000円からバイト代を引いた金額が支給
例えば
時給1000円で5時間を10日働く場合
日数と時間数の条件はクリアです。
バイト代は5万円なので
「減らされるけどもらえる」に当てはまります。
育児休業給付金は
64,000円ー50,000円=14,000円になります。
育休入った当初半年の
育児休業給付金の額は
8万円×67%=およそ5万円なので
手残りは5万円のバイト代と
減らされた育児休業給付金1.4万円
の合計6.4万円となり
バイト代が家計に貢献します。
以下に収入とバイト代に応じて
減額となる育児休業給付金
を表にしてみました。
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4:まとめ・WIN-WINな育休取得に
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先ほどの表
一番下の行「給付金がなくなるボーダーライン」
と各バイト代の行を比較してください。
ただ休むだけなら
休業当初半年は33%の収入落ち込み
7か月目からは50%の収入落ち込みとなりますが
バイトをすれば20%ダウンまでに抑えることが
できるのです。
育児休業給付金は非課税だけど
バイトしたら課税ではありますが
10万円のバイトを6か月したとしても60万円
非課税の範囲内です。
少々手伝う程度なら、働いた分丸々手取りです。
収入も増やせて、
復帰後の「浦島太郎」も防げるなら
身体に無理さえかからなければ
そして、働く時間に見合った業務量で
サービス残業なく働く事ができる環境なら
会社も本人もWIN-WINな
育休の取り方の一つだと思います。
お読みいただきありがとうございました。
<参考資料>
厚生労働省リーフレット⇒育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf
※ご紹介した制度は執筆時点(2020年8月29日)に収集できる情報に基づき、大まかななケース想定で記載しました。ご自身のご利用にあたっては、必ずお勤め先やハローワークにご確認いただきますようお願い申し上げます。